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将来にわたって賃貸需要が見込めるエリアはどこか

言わずもがなですが、不動産投資は部屋を借りてもらえなければ投資になりません。

そこで、将来にわたって賃貸需要が見込めるエリアはどこか? ということを考えてみました。

賃貸需要が生まれ続ける必要条件は、そのエリアで一定の人口が維持されることだと思います。

人口が減れば相対的に賃貸需要は減少するからです。

賃貸物件の供給は今後も一定の水準で続くでしょうから、むしろ人口が増えるくらいじゃないと空室率は上がるでしょう。

なので長期的に安定して投資を行うためには、今後総人口が減っていくことが確実な日本で、逆に人口が増えていくエリアを予測し、そのエリアのマンションに投資していく必要があるのです。

具体的な統計からそのエリアを予測します。

まず、総務省の2014年における転入・転出超過数の報告書を見ると、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)が断トツで10万9,408人の転入超過となっており、19年連続の転入超過となっています。

なかでも東京への転入超過は23区のみで6万3,976人で、それに続く札幌市の8,363人、福岡市の7,458人を大きく引き離しています。

これは2014年に限ったことではなくて、東京への一極集中は過去から続いています。平成16年に12,429千人だった東京都民の総人口は、10年後の平成26年に773千人増えて、13,202千人になります。1年ごとに約7万7,000人増えている計算です。

以上の統計より、投資するなら東京、とりわけ23区内のマンションが手堅いと言えます。

では次に東京23区内のどのエリアを買うべきか考えます。

私が注目したのは職場です。勤め人であれば休日以外職場には毎日通いますので、賃貸ならなおさら勤務先から便利な場所を選びます。

職住近接を推奨する企業も多いようですが、実際この種のアンケート※でも理想的な通勤時間を30分以内と回答した人は全体の79.2%にのぼりました。
※平成25年2月公表/マイナビ賃貸「働く男女500人に聞いた、理想的な通勤時間」より

理由としては「通勤に時間を掛けるのはもったいない」、「近ければ近いほど朝ゆっくり寝られる」等、忙しいサラリーマンやOLが朝晩の通勤の手間を出来るだけ省いて自分の時間を持ちたいと願うものでした。

通勤時間は自宅を出てから会社に着くまでのドアtoドアで考えるので、交通機関を利用する場合、自宅から駅やバス停までの所要時間も重要です。

賃貸で1人暮らしをする首都圏の学生と社会人を対象に実施したアンケート※では、最寄り駅から自宅までの所要時間を5分以下で希望する学生が全体の49.8%、社会人でも49.3%と2人に1人が駅から徒歩5分以内のマンションを希望しています。

駅から10分以下を希望する回答は全体の85.6%(学生)、86.3%(社会人)で、駅から10分以上歩く単身用マンションは最初の段階で選択肢から外されてしまうことが分かります。
※平成24年12月発行/アットホーム株式会社「一人暮らしの実状と部屋探しについて」より



東京都の統計で、昼夜間人口比率※というのがありますが、東京23区でこの比率が120%を超える区、つまり日中労働者などが流れ込み、常住人口の1.2倍以上に人口増加する区は、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、品川区、渋谷区、豊島区となっています。
※当該地域の常住人口100人当たりの昼間人口の割合

最新の統計は平成22年のものですが、東京都の予測では平成47年時点でも前述した昼間に常住人口の1.2倍以上に人口増加する区のラインナップは変わっていません。

人口増加したこれらの区は夜になると労働者が帰宅するため常住人口に戻るわけですが、そう考えると、例えば単純に千代田区内の駅より30分以内で通勤、通学できるマンションは賃貸需要があると言えます。

更にターゲットを駅別で絞り込むために、JR東日本が公表している統計で、駅別の1日当たりの乗降客数ランキングというのを見てみます。
※JR東日本「各駅の乗車人員 2014年度ベスト100」より

このランキングで注目したいのは定期を利用している人の数です。

定期利用者というのは、基本毎日そこに来る必要のある労働者や学生なので、上記で見た昼間に常住人口より増加する区内にある駅で、かつ定期利用者が多い駅というのは重要になります。

2014年度で定期利用者が多い順に23区内の駅名(JRのみ)を挙げると、新宿駅、池袋駅、東京駅、渋谷駅、品川駅、新橋駅、高田馬場駅、秋葉原駅、田町駅などになります。(23区じゃないですが、横浜駅や大宮駅も定期利用者が非常に多いので注目です!)

各駅の乗車人員はJR東日本のHPに年度ごとに載っているので興味があれば見てみて下さい。10年以上前から上位の駅のラインナップがほとんど変わってないことが分かります。

私鉄駅の定期利用者のみのデータは入手できませんでしたが、直近の乗降客数を多い順に見ると、東急渋谷駅、京王新宿駅、小田急新宿駅、西武池袋駅、東武池袋駅、京王渋谷駅など、JRで挙げた駅名とすべて重なりました。



さて本稿の結論ですが、将来的にも確実に賃貸需要が見込めるエリアは、上記で挙げた定期利用者が多い23区内の駅より30分以内で到達できる範囲ということになります。 そしてその範囲に建つマンションで、最寄駅まで徒歩5分以内のマンションが投資対象になります。

尚、投資物件の購入基準については本サイトでも別の角度から論じていますので、時間があるときにでも読んでみて下さい。

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