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月額の手取り家賃収入で購入基準を決める

そもそも何百何千という投資向け区分所有マンションのうちから、いったい何を購入基準にして物件を選べば良いのか?

その手の本や雑誌によく出てくるのが実質(ネット)利回り※ですが、このサイトでは、もっと単純で分かり易い、不動産投資をしたことによって実際に得られる毎月の手取り家賃収入の額を基準に考えていきます。
※年間の家賃収入より年間の諸経費(管理費、修繕積立金、固都税など)を差し引いた額を、その物件の購入額(購入経費を含む)で割ったものです。
実質利回り=(年間家賃収入−年間諸経費)÷(購入経費を含めた物件購入額)×100


そして、せっかくこのサイトのタイトルにしているので、やはり7年で手取り年収を100万円増やすことを前提に考えていきます。

まず、7年掛けて単身用マンションを3戸購入するとして、1戸当たりの月額賃料を48,000円で見積もると、×3戸で144,000円になります。

通常は賃貸借契約の更新料として賃料の1ヶ月分が2年ごとに入ってくるので、1年あたりに換算すると144,000円÷2年で毎年72,000円の更新料が入ってくる計算が立ちます。

72,000円は毎年入ってくるという計算で、予め目標の手取り年収100万円より72,000円を差し引いて、残り928,000円を12ヵ月で割った77,333円が、毎月の手取り家賃収入として入ってくるようになれば、不動産投資で手取り年収を100万円にすることが出来ます。

7年掛けて単身用マンションを3戸購入しますから、77,333円÷3戸で、1戸当たり25,778円プラスのキャッシュフローになる物件を購入すれば良いという計算になります。



このキャッシュフローのプラス額は、購入時に用意できる自己資金によって(つまりローンの返済額の多い少ないによって)けっこう変動しますが、用意できる自己資金が少ない方でも、別ページでも述べた通り退去後の内装工事や設備更新に備える意味でも、最低15,000円以上はプラスのキャッシュフローになる物件を購入するようにして下さい。

購入基準の計算式は以下の通りシンプルです。

家賃収入−(管理費・修繕積立金+固都税+ローン返済額)=15,000円以上
※すべて月額で計算

ローン返済額については、買付けを入れる前に仲介業者を介して、借りた場合のおおよその金利を金融機関に確認してもらい、その金利を元に計算しましょう。

不動産投資のローンだと、借入期間が10年〜20年の固定金利で、4%〜5%くらいであれば恵まれた金利だと思います。



では上記の購入基準の計算式を満たす物件ならどんな物件を買っても良いのかというと、まったく違います。買っていいのは、購入基準の計算式を満たす前に、長期的に需要が見込める物件であるという前提が必要になります。

不動産投資は賃借人に家賃を払ってもらって成立するものなので、借り手の需要が乏しい物件を買うと失敗するからです。


長期的に需要が見込める物件とは、東京圏で言うと1日の乗降者数が多いターミナル駅(新宿、池袋、東京、横浜、渋谷、品川、新橋、大宮、秋葉原、川崎など)に乗り換えなしで30分以内にアクセス出来る駅より、徒歩5分以内にあるマンションです。

ちょっとハードルが高いんじゃないかと思うかもしれませんが、今後10年、15年、20年と不動産投資を続けていく上で必要条件だと私は考えます。



日本は長いスパンで見ると都市部でも人口減少が避けられません。

人口が減ると都市機能は主要駅を中心に必然的に集約されていきます。人口が減ると税収も減るので、ある程度集約していかないと、例えば道路や上下水道などの都市のインフラに掛かる維持費が賄えなくなってくるからです。10年程前から国がコンパクトシティ事業を推し進めているのもそのためです。

そういう将来的な傾向の中での賃貸需要を考えると、たとえ人口が減っても都市機能が集約された利便性の高い場所にあるマンションなら必ず需要があると判断出来ます。

アットホーム(株)が、賃貸で1人暮らしをする学生と社会人を対象に実施したアンケート※では、最寄り駅から自宅までの所要時間を5分以下で希望する学生が全体の49.8%、社会人でも49.3%と、およそ2人に1人が駅から5分以内のマンションを希望していることが分かります。

別の言い方をすれば、駅から徒歩5分以上のマンションを購入した時点で、学生と社会人の単身者の賃貸需要の約半分を失うことになるのです。
※平成24年12月発行/アットホーム株式会社「一人暮らしの実状と部屋探しについて」より

また、確かに人口は減少していきますが、人口を世帯別にみると、単身者向け区分所有マンションの需要となる単独世帯は、2010年の1,678万世帯から増加を続け、一般世帯総数が減少に転じる2020年以降も増加を続けるという統計※が出ています。
※平成25年1月推計/国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」より

単独世帯は2035年には2010年より167万世帯多い1,846万世帯となり、一般世帯総数に占める割合も2010年の32.4%から2035年の37.2%に上昇する推計となっています。

単独世帯増加の理由として、晩婚化や未婚化、離婚の増加などが挙げられています。

ちょっと不謹慎ですが、単独世帯の増加は、単身者向け区分所有マンションの投資を続ける上では好材料です。

ただし、持ち家率の高い(つまり賃貸需要にならない)65歳以上の単独世帯を除いた単独世帯は、2035年時点で2010年より96万世帯減少する推計のため、やはり物件を購入する上での立地選びは慎重に行うべきです。



もちろん物件に求める属性は立地だけではありません。

まず築年数ですが、原則は昭和56年6月1日以降に確認通知(確認済証)を受けて着工したマンションを購入するようにして下さい。昭和56年6月1日以降に確認通知を受けたマンションは現行の建築基準法の耐震基準を満たしているからです。

それ以前に工事着手されたマンションは旧耐震基準のマンションで、目には見えませんが、新耐震のマンションとは安全性や資産価値で大きな隔たりがありますので注意が必要です。

新耐震は震度6強〜7程度の地震でも建物が倒壊しないような構造基準となってますが、旧耐震のそれは震度5強程度となっており、地震に対する強度が全く違うのです。

ですので、念のため竣工が昭和57年〜58年くらいまでのマンションは、仲介業者を通じて確認通知書を取得してもらうようにしましょう。確認通知書が見つからない場合は、役所に行って建築確認台帳証明を取得してもらうようお願いして下さい。

念のためマンションが建っている地盤もチェックします。マンションは戸建てと違って着工前にボーリング調査をし、その地盤に合った設計をしないと建築確認が下りないようになっているので、地震による不同沈下などの地盤のトラブルはほとんどないと思いますが、どういう地盤の上に建っているマンションかくらいは知っておくようにしましょう。

確認方法は、国土交通省のハザードマップポータルサイトを開いて、土地条件図を見ます。盛土地や埋立地の人工地形に建つ関東地方のマンションであれば、念のため東日本大震災の際に建物がどの程度ダメージを受けたか確認して下さい。

住所を入力するだけでその地盤を簡易的にチェックできる住宅地盤診断サイトもありますので、併せてチェックしてみて下さい。



単身者向けの区分所有マンションに投資をする上で、共用部の設備としてオートロックが付いているマンションはポイントが高いです。

特に女性の単身者は防犯に対する意識が高いので、立地や築年数ほど優先順位は高くないですが、それらを満たした上でオートロックや防犯カメラが導入されているマンションなら言うことありません。

【入居者に人気の設備ランキング2013/単身者向け物件】

※全国賃貸住宅新聞(平成25年10月13日発行分より)

また、購入後に変更しようがないものに日当たりがあります。これは出来ればバルコニーが北向きでないマンションを選びたいものです。単身用マンションで中部屋の北向きだと終日日差しが入らなくなります。



毎月支払う管理費と修繕積立金の額は、マンションの総戸数が多いほど安くなる傾向があります。

国土交通省のガイドライン※でも、15階未満のマンションでは建築延床面積が広くなるほど専有床面積u当たりの修繕積立金が下がると報告されています。

【専有床面積当たりの修繕積立金の額】

※国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(平成23年4月公表)」より

建築延床面積が広くなるほど戸数も多くなりますから、総戸数が多いほど修繕積立金は安くなると言い換えることが出来ます。

これは単純に戸数が増えると修繕積立金を支払う人の頭数が増えるからで、管理費に関しても、ゲストルーム等の特殊な共用設備がなく一般的な管理内容であれば当て嵌まる傾向です。

管理費・修繕積立金の額が少なく、将来的にも増額の可能性が低いマンションであれば、それだけ長期的に手取り家賃収入が多く安定的に見込めるということになります。

尚、機械式駐車場があるマンションは注意が必要です。

機械式駐車場は維持・更新に多額の費用が掛かりますが、駐車場の空きの問題が続くとその費用が賄えず、あおりを食う形で管理費と修繕積立金が引き上げられる可能性があります。

管理費と修繕積立金が増額されると、その分月額の手取り家賃収入が減ってしまうのは言うまでもないですが、実質利回りが悪くなり過ぎると、今度は手放したくても売れないというリスクも出てきます。

そもそも交通網の発達した都市部で、駅近の単身用マンションに住んで車を持ちたいなんていうニーズは少ないですから、駐車場など無くて大丈夫です。維持費の掛かる車を所有するより、必要な時にレンタカーを借りたり、カーシェアリングを利用する若者は多いです。



大規模修繕工事※については、直近の実施時期とその内容、及び今後予定されている実施時期を確認します。
※マンションの性能を維持するため、10年〜15年程度の周期で実施する工事。工事の内容は外壁塗装工事、屋上防水工事、給排水管更生(又は更新)工事、エレベーターリニューアル工事など多岐にわたります。

大規模修繕工事に要する費用は、ざっくりと戸当たり100万円で計算しましょう。

つまり、仮に購入予定のマンションが5年後に大規模修繕工事を計画している場合、現時点の修繕積立金の総額と、今後5年間で積み立てられる修繕積立金の総額を合算し、総戸数に100万円を掛けた金額と比較します。

その結果修繕積立金の合算総額の方が上回っていれば一応合格ですが、下回っている場合は、近い将来月額の修繕積立金が増額されるか、あるいは大規模修繕工事の際、不足する工事代金を別途追加負担金として徴収される可能性があるので注意が必要です。

物件購入の基準


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