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貸主が直接自分で賃貸管理を行うメリット〜その弐

入居中の管理

深刻化すると設備などの不具合より遥かにやっかいなのが滞納です。

要するに対応に相当な時間と費用が掛かるのです。

電話や書面、あるいは訪問して督促しても賃借人が家賃を支払ってくれない場合、やむなく法的手段を取るわけですが、こうなると簡単には出て行ってくれません。

というより、お金がないので出て行きたくても出て行けないのです。

最近の判例では、3ヶ月以上の滞納状態にないと明け渡しが認められないようです。

よく賃貸借契約書に2ヶ月間滞納したら即時契約解除できる旨の条文がありますが、2ヶ月の滞納では争っても明け渡しは認められない可能性が高いです。

また明け渡しの判決が出ても賃借人が任意で出て行かなければそれまでなので、強制執行の申し立てを行います。裁判所の執行官が、滞納している賃借人に対して1ヶ月くらいの間に退去しなければ強制執行を行う旨を告知するのです。

強制執行の申し立てを受けた賃借人が観念して退去してくれれば良いのですが、そうでなければ予告通り強制執行となります。文字通り執行官が強制的に賃借人を退去させるのです。

賃借人の私物もすべて居室から運び出して、ようやく明け渡しが完了します。

滞納が始まってから明け渡し完了まで、早くても半年は掛かると考えて下さい。強制執行後の室内の状況にもよりますが、一定の内装工事が必要なことを想定すると、新たな賃借人が入居できる状態になるまでには、8〜9ヶ月くらいのロスは覚悟しなければなりません。

期間的なロスだけではありません。

費用的にも、弁護士報酬、裁判実費、執行補助業者費用※、退去後の内装工事などの費用が発生します。
※執行官の指示に従って荷物の運び出し等を行う業者に支払う費用。短期間で荷物を運び出すため人手を要し高額になりがちです。

また滞納した半年分の家賃はまず支払ってもらえませんので、滞納家賃も含めると単身用マンションでもその出費は100万円を超える可能性があります。



上記は最悪のシナリオですけど、可能性はゼロではないですし、もしそうなったら投資どころじゃなくなりますよね?

ですので滞納は何としても回避しなければなりません。

でも一体どうすればいいのか。

まず物件購入前に、仲介業者を介して賃借人の滞納履歴を確認して下さい。

確認のポイントは、賃貸借契約書に定められた賃料の支払い期日までに、毎月しっかり支払っている賃借人かどうか、と言うことです。

多くの賃貸借契約は前家賃制で、来月分の家賃は今月末までに支払う契約になっています。

ところがお金にルーズな賃借人は月末までに支払わず、督促を受けてから支払ってきます。

私は十数年賃貸管理の仕事をやってますが、こういうお金にルーズな人は何度注意しても同じことを繰り返します。月末に回ってくる滞納者リストの名前は常連が並びます。

それでも何とか退去するまで数日の滞納を繰り返す程度で済めば良いのですが、中には滞納期間が徐々に長くなっていく人がいます。

やがて1ヶ月分が2ヶ月分、2ヶ月分が3ヶ月分と滞納額が増えていって取り返しがつかなくなるのです。

対照的に毎月期日までにしっかり家賃を支払う人は、ほとんど滞納者リストに名前が出てきません。

年末帰省していて、ついうっかり振り込むのを忘れました、みたいな人はたまにいますが、ほんとについうっかりで、常態化することはまずありません。

賃貸管理の仕事を十数年やってきて思うのは、深刻な滞納状態に陥る可能性がある賃借人というのは、普段から既にその兆候を見せているということです。

その兆候を物件購入前に確認できるのが、前述した通り約定の支払期日までに毎月確実に家賃を支払っているかどうか、ということなのです。

ですので、少なくとも過去半年はチェックしてもらって下さい。それで問題がなければ、その賃借人が滞納トラブルを起こす可能性は非常に低いです。



【賃借人が入れ替わった場合】

物件購入時の賃借人が退去した場合、当然新しい入居者を募集して契約するわけですが、契約前に新しい賃借人のお金に対する観念までは分かりませんよね?

なので、賃貸借契約時に賃料の保証会社と保証契約を締結してもらいます。

保証会社の保証契約とは、賃借人が賃料を滞納した場合に保証会社が賃料を貸主に立て替え払いする契約を言います。その後保証会社は立て替えた賃料を賃借人に請求します。

保証契約は通常、賃貸人、賃借人、保証会社の三者間で契約し、契約に必要な保証料は賃借人が負担します。

ただ賃借人の中には、この保証料を負担したくないという理由で保証契約を拒む人もいます。ですがこれは貸主が費用を負担してでも契約するようにしましょう。

大手の保証会社であれば、滞納家賃の保証だけでなく、明け渡し完了までの訴訟費用が全額保証されるはずです。これは大家業を続ける上ですごく安心です。

なので、賃借人の募集を不動産仲介業者に依頼する際、保証会社との契約を契約条件にする旨を伝えましょう。

不動産投資において大きなリスクである滞納トラブルを排除できれば、その利回りの高さから、不動産投資は他の投資と比べてもかなり魅力的と言えます。

次は、もう一つの大きなリスクである空室の対策についてお話します。

空室期間を最短化するために


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