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自主管理のススメ<家賃管理編>

今回はサラリーマンとして区分所有マンションを購入し副収入を得るようになった際、少しでも 多くの収益を得られるように、自主管理するためのノウハウをお伝えします。

私は都内にある賃貸管理会社に勤務する現役のサラリーマンなので、皆さんに自主管理されるとおまんま食い上げになりかねないのですが(笑)、 そんなケチなことは言わないで、頑張る皆さんのお役に立てるように仕事で培ったノウハウをお伝えします。 (※正直に言って区分所有マンションの場合、サラリーマンをしながらでも余裕で管理できますので、ぜひ自主管理して欲しいです。)

管理会社に管理委託した場合、仮に月額委託料が3,000円でも1年で12,000円掛かります。10年で12万円です。

委託料以外にも、例えば2年に1度の賃貸借契約の更新の際に更新料(関東圏では通常賃料の1ヶ月分を更新料として賃借人よりもらいます) の半分を手数料として管理会社に支払ったり、賃借人が退去する際の退去立ち合いを管理会社に依頼する流れから原状回復工事も依頼することになり、 そうなると2割くらい管理会社の利益が上乗せされた請求書を受け取ることになります。

またエアコンや給湯器等の付帯設備の不具合についても、管理会社に依頼すると請求額のうち2割〜3割は管理会社の利益が乗っかってくるのでそのぶん余計に支払うことになります。

なので少しでも実質利回りを上げるために、少なくとも(区分所有マンション程度なら)自主管理すべきなのです。 マンション投資を始めようなんて意欲のある方なら問題なく自主管理できますので、ぜひトライしてみて下さい。

まず今回は家賃の集金管理について解説していきます。

@家賃の集金管理について

まず、言わずもがなですが、賃貸借契約上の賃料の支払い期日までに、毎月きちんと指定した口座に振り込みされているか確認します。

そんなの当たり前だと思うかもしれませんが、賃貸管理業に携わっていると、意外とこういう基本的な確認が出来ない大家さんと出会うことがあります。

自主管理の大家さんで、「1年ぶりに記帳したら家賃が半年前から振り込まれてなかった、どうすればいいか?」 みたいな相談を受けるのです。いやほんと。

内心「1年ぶりに記帳って...」とあきれながら話を続けるのですが、こういう方は本当にいらっしゃいます。

当のご本人は「このところ忙しくて、うっかり記帳するの忘れてたよ」みたいな言い訳をされるのですが、毎月1回決まった日に口座を見るだけなので、最低限この確認は忘れないようにしたいです。

忘れっぽくて心配という方は、メールのお知らせ機能を使って毎月決まった日に自分宛てに自動でメールを送るようにするとか、 目立つ場所に「毎月末に口座を記帳すること!」みたいな紙を貼っておくとか、何か工夫すれば失念を防げるはずです。

今はWEB通帳に切り替えればスマホから簡単に入金状況を確認でき、昔みたいにイチイチ銀行に記帳に行かなくて済むので手間は掛かりません。 ほんと、1分掛からない作業です。なのでまずこれはマストの作業にして下さい。

半年家賃を滞納されると回収は結構厳しくなります。そもそも滞納する方の大半はお金にゆとりがなく、払いたくても払えないので、 滞納額が増えてくると回収は益々困難になります。

またそうなるとたとえ家賃の保証会社に加入していても、家賃を立て替え払いしてもらうための代位弁済の申請期限 に間に合わず滞納家賃は弁済されなくなるでしょう。

そうならないために、例えば毎月1日に口座をチェックし入金を確認するという家賃管理のための最低限の作業は、 自主管理をやる以上マストの作業にしましょう。

ちなみに先ほど「家賃の保証会社」と言いましたが、これは借主が家賃を滞納した場合に、借主に代わって保証会社が貸主に家賃を支払ってくれる制度で、 言わばちゃんと約束を守ってくれる連帯保証人みたいなものです(笑)。

なので初めて収益不動産を購入する方は、購入前に借主が家賃の保証会社に加入しているかを確認し、 なるべくなら加入している物件を選ぶようにしましょう。

家賃の保証会社に入っていない借主が滞納した場合は、出来るだけ早く対応する必要があります。

というか支払い期日より1日でも滞納したらすぐ連絡を入れるようにしましょう。その場合の連絡手段は携帯のショートメールが手っ取り早く確実で良いです。 書面や電話と違ってしっかり履歴が残るので後々効いてきます。

ショートメールの内容としては、これまで滞納したことがなく、ついうっかり滞納したケースは「家賃の入金が確認できないのでメール差し上げました。 入れ違いで入金済みの場合はご容赦ください」くらいの内容でで良いと思います。

一方頻繁に滞納する借主には文面を変えます。

滞納の事実と、何月何日の何時までに支払って下さい、という支払期日を入れます。支払い猶予は1週間くらいで良いです。

それに対して、その支払い期日は無理なのでいついつまでに猶予して欲しいとか、借主より何らかの反応があった場合は(程度問題ですが)柔軟に対応してあげましょう。

よくあるのは「月末までに2ヶ月分まとめて払います」という時間稼ぎですが、1度目は応じてあげましょう。

また後々のためにその際のやり取りはショートメールに残しておきましょう。そしてそのやり取りの際、借主が仕事を辞めていないか聞いてみましょう。 もしも現在無職で就活中です、みたいなメールが返ってきたら要注意です。

約束した1度目の支払い期日を借主が守らなかった場合、情を断ち切り、退去のお願いをしましょう。だいたい1ヶ月後の翌月末までに退去してもらうように要請します。 すぐに退去は無理ですと言われても、貸主としてもローンの支払いがあるのでこれ以上は無理ですと応じましょう。 私情を挟み、「ではもう少しだけ待ちます」と応じても、私の経験上、滞納額が大きくなるだけなので、迷わず退去してもう方向に舵を切りましょう。

退去を要請して、借主が退去に応じてくれれば言うことはありません。恐らく滞納した家賃は回収できないと思いますが、 切り替えて次の募集に専念しましょう。

借主が退去に応じる意思を示した場合は、後々の言った言わないのトラブルを避けるためにも、簡単な文面で良いので借主と「合意解約書」を取り交わしましょう。

この手の「覚書」系の雛形はネットで調べればすぐに出てきますので、それを原型にして、以下のような箇条書きで条文を書き込みます。

賃貸人 不動産 太郎(以下「甲」という)と賃借人 滞納 花子(以下「乙」という)が賃貸借契約(以下「本契約」という)を締結しているABCマンション(所在:東京都中野区本町1-1)101号室について、 甲と乙が下記の通り合意したので本覚書を締結する。

1.甲と乙は、2023年〇月〇日をもって本契約を解除することに合意した。

※この際の解約合意条件として、借主の原状回復義務を免除するとか、滞納賃料の支払い義務を免除するとか、 借主に有利な条件を付け、確実に合意解約日までに退去してもらうように努めましょう。

2.甲は、原契約第〇条の乙の原状回復義務を免除する。

3.甲は、契約解除日までの乙の賃料等の債務を免除する。但し乙が甲に預託した敷金については滞納賃料に充当し返金しないこととする。

4.甲と乙は、本覚書条項に定めるもののほかに、何らの債権債務のないことを確認した。

腑に落ちないかもしれませんが、ズルズル居座られないように、早め早めに手を打ちましょう。私の経験上、情に負けて待ってあげても滞納が改善した試しはありません。 初期の段階で、情を絶って、打つべき手は打ちましょう。

問題は退去に応じてくれず、開き直って居座られた場合です。こうなると法的手続きしかありません。正直時間もお金も掛かりますが、 1番確実で適法に退去してもらう方法なので、迷わず弁護士に相談しましょう。

1番良くないのは、情と億劫さが邪魔をして法的対処に踏み切れず、ダラダラと時間だけが過ぎて、気が付けば半年1年と滞納期間がドンドン大きくなってしまうことです。 深刻な滞納者と出会ったら、躊躇せず、出来るだけ素早く対処しましょう。

以上が家賃管理についての自主管理の基本となりますが、どうでしょう。

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