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3分でおさらい、改正民法が貸主に与える影響

世界中が新型コロナウイルスに振り回されていますが、日本ではいよいよ来月1日より改正民法が施行されます。

そこで今回は改正民法が賃貸経営に与える影響のうち、特に大きいと考えられる2点について振り返ります。

@個人の連帯保証人について極度額の設定が必要になる。

連帯保証契約については、これまで連帯保証人が負う責任は無制限でしたが、その責任に極度額(=限度額)を設けなければならなくなりました。

極度額を設定しなかった連帯保証契約は無効となります。

例えばある賃貸借契約で個人の連帯保証人(Aさん)を立てる場合、貸主とAさんの保証契約の極度額は500万円とする、と賃貸借契約書に明記し、貸主と借主とAさんの署名・押印が必要になります。

今までは責任が無制限であるものの、具体的な金額が提示されていないこともあって何となく引き受けていた連帯保証人も、今後は500万とか1000万円とかいう極度額が提示されますので、躊躇して逆に引き受ける人が減る可能性があります。

また既存の賃貸借契約でも、更新契約によって4月1日をまたいで継続する場合、法務省の見解では改正民法が適用されますので注意が必要です。

1部の団体では特約条項にそれっぽい文言を明記することで、既存の賃貸借契約については極度額の設定は必要ないとする見解を示していますが、争った場合無効になる可能性は十分あります。

そうなった場合、結局被害を受けるのは貸主なので、あらかじめ管理会社に更新契約について方針を確認しておきましょう。

A賃借物の1部使用不能により当然に賃料が減額される。

「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。」

つまり、例えばエアコンが故障して修理までに1週間を要した場合、不便だったその1週間分の賃料は当然に減額されるというものです。

実務上難しくなるのは、その減額する1週間分の賃料が幾らになるのかを算出することです。新しい法律なので判例で示された基準がないため、当面は様子を見ながらの対応になりそうです。

いずれにしても設備不良等のクレームから賃料減額への要求と発展するケースの多くは、初期対応のまずさが起因していることがままあります。

これも結局は貸主に跳ね返ってくることなので、委託している管理会社が24時間体制で緊急対応を行っているか等の確認をしておくと良いでしょう。

  


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