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客付業者の未来

それ程遠くない将来、例えば10年とか15年くらいの間に、賃貸仲介が主体のいわゆる客付業者(きゃくづけぎょうしゃ)は消滅するんじゃないか? という話を耳にします。

賃貸仲介の客付業者は、元付業者(=大家さんから直接募集業務を依頼された不動産会社)より募集物件の情報をもらって自社HPや物件検索サイトへその情報を転載し、エンドユーザーより内見の反響があったら物件に案内し、成約になれば仲介手数料をエンドユーザーより支払ってもらう、というのが収益源です。

その収益源である仲介手数料が、人口減や賃貸マンションの過剰供給で需給バランスが崩れ、今でさえ高い空室率が更に上昇していくと、入居者を確保するためにゼロになるのではないか、またスマートフォンの普及もそれを後押しするのではないか、と言われているのです。

仲介手数料ゼロが一般的になると、それが主な収益源である客付業者は廃業せざるを得ません。



今はスマートフォンで部屋を探すと室内写真が豊富でかなりイメージできますし、グーグルの地図で前もって周辺環境を詳しく調べられるため、エンドユーザーは内見したい部屋を絞り込んで掲載元の客付業者に問い合わせしてきます。

「○○サイトで見たんですけど、○○マンションって内見できますか?」みたいな感じです。

なので、客付業者は案内する○○マンションについてエンドユーザーに新たに提供できる情報がなく、ちょっと言い方は悪いですが、案内する部屋の鍵を開けるだけで賃料の1ヶ月分の仲介手数料をもらってる、みたいな感じになってます。

今はそれで回っていても、先程触れたように今後空室率が上がってくると、サービスが激化して仲介手数料をゼロにせざるを得ず、その結果客付業者の役割に代わって元付業者自身がスマートフォンの機能を使って遠隔にエンドユーザーを物件に案内する、なんていうスタイルが主流になるかもしれません。

例えば、内見を希望するエンドユーザーよりスマートフォンで顔と身分証明書の写真を撮って送ってもらい、身元を確認してから部屋の開錠方法を伝えて単独で見てもらいます。見終わったら電話をもらって感想や質問を聞く、みたいな流れでやれば客付業者がいなくても問題ないと思います。

マンション1棟全部屋の募集業務を依頼されている元付業者であれば、通常は建物管理も併せて依頼されているケースが多いでしょうから、内見後、日常清掃の清掃員に念のため部屋の確認をお願いするなんてことも出来るわけです。

アメリカではこちらのスタイルが通常で、大家さんから募集業務の依頼を受けた不動産会社が直接入居者を募集し、契約も締結します。そもそも日本のような客付業者や仲介手数料などの概念がないそうです。



いずれにしても賃借人の募集を巡るマンションオーナーの環境がこれから先徐々に厳しくなってくることは間違いないと思いますので、マンションオーナーは募集業務を業者任せにするのではなく、逆に業者に提案できるくらいに勉強したいところです。

ちなみに空室期間を最短化するノウハウを本サイトで公開していますので、時間があるときにぜひ読んでみて下さい。

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